法人経営者、個人事業主の皆さん『経営セーフティ共済』加入していますか?
加入していないのであれば是非この機会に経営セーフティ共済を理解してしっかり活用していきましょう!
そもそも、
経営セーフティ共済って何?
節税できるって本当?
加入したはいいけどどうやって使えばいいの?
という方が多いと思います。
この記事を読めば
がわかります。
(ちなみに今回のお話は個人事業主や、法人しか使うことが出来ないのでサラリーマンの方は加入できません。)
そんな僕は某地方銀行で14年勤務し法人営業、資産運用業務にたずさわっています。
現在の銀行方針とは逆行して
資産運用はもちろん、法人に対してもお客様第一でお客様のプラスになる提案しかしないと決めて行動しています。
たまには他の金融機関の商品も提案する事もあるとかないとか?(笑)
今回の経営セーフティー共済も普通の銀行員だったら、法人保険を提案するかも知れませんね(笑)
経営セーフティ共済って何?
まずは経営セーフティ共済の概要から話します。
正式名称:中小企業倒産防止共済
運営:独立行政法人 中小企業基盤整備機構
利用目的:取引先が倒産した場合借入を行うことが可能となる
掛金:5千円〜20万円/月
一般的には『経営セーフティ』や、『倒産防』と呼ばれています。
経営セーフティ共済のメインの使い方は、前述の通り取引先が倒産した際に借入ができるということです。
しかも、すぐ借りることができます。(倒産先との取引が確認でき次第ですが)
さらに無利息、無担保、無保証人です。
借入できる上限金額は
「回収困難となった売掛金債権等の額」
「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」
のいずれか少ない金額となっています。
金融機関で借りようとすると決算書を提出したり、審査があったり色々手続きが大変ですし、
どれだけ取引が深い金融機関であっても、
借入が決まってお金が入金されるまでどれだけ急いでも2週間はかかると思います。
なお、積み立て上限は『800万円』
中途解約はいつでも可能ですが、40ヶ月以上積み立てを行えば元本保証され掛金の全額が返金されます。
また、掛金全額が経費計上可能となるため、税金対策として使うことができます。
ただし、どんな方でも加入できる訳ではありません。
中小企業基盤整備機構のウェブサイトを最後に記載しておくので一度覗いてみてください。
節税の効果
先程お話しした通り、経営セーフティ共済は掛金が全額経費計上する事が可能となっています。
ですので、毎月20万円を掛け込んでいる場合、240万円を経費扱いで利益を落とすことができます。
例)
税引前利益 1,000万円の法人の場合
経営セーフティ共済なし
800万円×15%+200万円×23.2%=166.4万円
法人税:166万4千円
経営セーフティ共済あり
1,000万円−240万円=760万円
760万円×15%=114万円
法人税:114万円
166.4万円−114万円=52.4万円
よって 52万円4千円 節税となる。
上記の通り240万円掛け込みを行うことで52万円も節税する事ができるんですよね。
前納という払い方も活用すれば更に掛金を増やす事も可能です。
メリットとデメリット
ここまでの話を聞いていると良いことばかりしかありませんよね。
でも、気を付けなければいけない注意点もあります。
ここでは、メリットと注意点お話していきたいと思います。
メリット
2種類の借入方法がある
経営セーフティ共済で借り入れる方法は下記の2種類あります。
1 共済金貸付
2 一時貸付
共済金貸付
取引先が倒産し、売上代金が回収できない場合に利用できるのが共済金貸付です。
借り入れの内容については先程説明した通り、上限額は、払い込んだ掛け金の総額の10倍、もしくは回収できなくなった売掛債権や前渡金返還請求権の合計額のいずれか少ないほうの金額です。
(50万円から8,000万円の範囲内で、5万円単位で借りることができます。)
なお、無利息、無担保、無保証人です。
一時貸付
一時貸付には取引先の倒産といった条件はなく、お金が必要になったときに借り入れをすることができます。
借入の限度額は、経営セーフティ共済を解約したと仮定したときに支払われる解約手当金の額の95%と決められています。
なお、一時貸付は担保や保証人は不要ですが、利息の支払いが必要です。
(2021年1月23日時点では、年利0.9%で設定されている。)
掛け金が全額経費計上が可能で節税になる
これについては節税の効果でもお話ししたので割愛させてもらいます。
解約すれば解約手当金が受け取れる
解約した時、掛金の納付月数が12カ月以上あれば、支払った掛け金総額に応じた解約手当金を受け取ることが出来ます。
経営セーフティ共済の解約事由は、『任意解約』『みなし解約』『機構解約』の3種類に分類され、解約手当金として支給される割合が異なります。
任意解約
契約者の任意による解約を指します。
任意解約の解約手当金は納付月数が40カ月以上で100%となり、支給率は80%~100%です。
みなし解約
契約者の死亡、会社の解散や事業譲渡などによる解約を指します。
みなし解約の解約手当金は掛け金納付月数が36カ月以上(3年)以上あれば、掛け金総額の100%を解約手当金として受け取ることができます。
支給率は85%~100%です。
機構解約
中小機構からのペナルティ的な解約を指します。
掛け金を12カ月以上滞納したときや、不正な貸付を受けようとした場合などに適用されます。
機構解約の解約手当金支給率は75%~95%となり、100%にはなりません。
解約手当金は、掛金総額に解約事由と掛金納付月数から決まる所定の割合をかけて計算されます。
解約手当金が最も高くなりやすいのは、みなし解約です。
注意点
共済金貸付は貸付額の10%を失う
共済金貸付は無利子のため一見損がないように見えますが、共済金貸付を利用すると10%の掛け金総額を失うことになります。
取引先が倒産したと聞けば慌てるのは当然のことですが、共済金貸付をすぐ利用する前に、本当にその借入がなければ乗り切れないか一度よく考えてみましょう。
もし掛け金の総額から得られる解約手当金が100%と仮定した場合、その10%を失うということは、8,000万円を800万円の利息を払って借りたことと同等になってしまいます。
「会社の危機を乗り切れるなら安い」「他に手段がない」と判断できるときにしか、共済金貸付を利用するのはやめた方がいいのではないでしょうか?
なお、借入をしたあと返済を1度も滞納することなく、予定よりも12カ月以上早く完済することができた場合は、早期償還手当の支給対象になります。
早期償還手当の額は、あくまで目安ですが借入金額の約0.1%~約4%に設定されています。
完済が早ければ早いほど、金額が高くなる仕組みであるため、これを考慮すれば、貸付を受けるかどうかをもう少し緩やかに判断できるかもしれません。
加入後6カ月未満の倒産は対象外
加入後6カ月未満に生じた倒産は、共済金借入の対象外となっています。
「最近、A社の支払いが遅れて大丈夫かな…」と感じて加入しても、6カ月未満に相手が倒産した場合は共済金借入の対象になりません。
12カ月未満の解約は解約手当金はない
掛け金の納付月数が12カ月未満で解約した場合、解約手当金は0円となってしまいます。
これは解約事由が任意解約、みなし解約、機構解約のどれであっても同じです。
掛金の滞納などで中小機構側から解約される場合もあるため、解約手当金で損をしないよう、余裕を持った掛金設定を行うことに注意して下さい。
「夜逃げ」は対象外
単に連絡がつかないという状態や、いわゆる『夜逃げ』の状態では、共済金の借入を利用することはできません。
要件となっている『取引先の倒産』とは以下のとおりです。
・法的整理
・取引停止処分
・私的整理
・災害による不渡り
・特定非常災害による支払不能
解約手当金は全額益金算入
経営セーフティ共済の解約手当金は、全額益金に算入されます。
例えば、掛け金を毎月20万円ずつ3年間支払った場合、トータルで720万円を損金に算入することになります。
しかし、その後、任意解約によって100%の解約手当金720万円を受け取った場合には、その720万円が会社の益金となって、受け取った事業年度の課税対象になってしまいます。
損金として計上した掛金と解約手当金の関係は、本来、税金が課されるはずだったタイミングを、将来に先送りした事になります。
その為、経営セーフティ共済を節税対策として活用するには、積み立てた資金を受け取るタイミングを考えることが大切になってきます。
経営セーフティ共済はいつ解約しても大丈夫な為、解約して解約手当金をいつ使うのか見極めて利用する様にしましょう。
まとめ
経営セーフティ共済は事業を営んでいるのであれば非常に強い味方となります。
特定の団体、事業でなければ基本的に加入することができます。
取引先が倒産した場合には緊急の借入手段として活用する事ができますし、税金の対策としても利用する事が可能です。
早期解約をしなければノーリスクだと思っていただいてもいいでしょう。
解約した際には解約手当金は益金となる為、いつ利用するのかしっかり見極めて有効に活用していきましょう!
最後に中小企業基盤整備機構のアドレスを載せておくので参考にしてみてください。
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