『iDeCo』って何?
メリットや注意点って何があるの?
どんな人が加入すればいいの?
と考えている方
この記事を読めば
『iDeCo』とは何か?
メリットと注意点
どんな人が加入すればいいのか
がわかります
そんな僕は某弱小地銀で勤務して16年目
日々顧客の資産運用を中心に営業中
担当したお客様の資産は絶賛増加中
『iDeCo』とは
『iDeCo』とは、個人型確定拠出年金のことを言います。
確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度となっています。
『iDeCo』は自分で申し込み、掛金を拠出し、運用方法を選んで掛金を運用します。
簡単に言えば積立投資の1つです。
一定の年齢まで運用を行い、受給年齢に達することで掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
『iDeCo』では、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上で優遇されています。
掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
ちなみに、60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。
加入した年齢によっては受給年齢が後ろ倒しになる為、そこは注意してください。
『iDeCo』のメリットと注意点
ここからは『iDeCo』のメリットとデメリットについて話していきたいと思います
『iDeCo』のメリット
積み立てた掛け金が全額所得控除
『iDeCo』で積み立てる掛金は、全額が所得控除の対象になります。
その年の年間掛金額を所得から引く事ができるため、その分の所得税と住民税が軽減されます。
節税額はその人の年収や掛金によって変わりますが、積立期間中はずっと控除の恩恵を受ける事ができるため大きな節税効果があります。
例えば年収500万円の方が毎月1万円を積立した場合には、年間で24,000円も節税することができます。
他のケースでも下に載せておくので参考にしてみてください
<会社員Aさんの場合>
年齢:35歳
年収:500万円
毎月の掛金:15,000円
年間節税額:36,000円
25年間加入で・・・
900,000円の節税
<公務員Bさんの場合>
年齢:24歳
年収:300万円
毎月の掛金:10,000円
年間節税額:18,000円
36年間加入で・・・
648,000円の節税
<個人事業主Cさんの場合>
年齢:43歳
年収:800万円
毎月の掛金:60,000円
年間節税額:216,000円
17年間加入で・・・
3,672,000円の節税
※ちなみに、節税金額は概算です。他に所得控除などがある場合、節税効果が異なります
運用益が非課税
通常、預貯金の利息や投資信託の運用益には、20.315%の税金が課されるようになっています。
ですが、『iDeCo』を通じてこれらの金融商品を利用した場合、運用益に対して税金がかかりません。
本来であれば税金として差し引かれていた分の資金を再投資に充てることができるので、効率的な運用が可能となります。
こちらもシミュレーションを載せておくので参考にしてみてください。
年率3%で60歳まで運用した場合(※税率は20%として計算)
<会社員Aさんの場合>
年齢:35歳
年収:500万円
毎月の掛金:15,000円
運用益:2,109,117円ー①
課税された場合の手取り額:1,752,094円ー②
節税額(①ー②):438,023円
<公務員Bさんの場合>
年齢:24歳
年収:300万円
毎月の掛金:10,000円
運用益:3,442,854円ー①
課税された場合の手取り額:2,754,283円ー②
節税額(①ー②):688,571円
<個人事業主Cさんの場合>
年齢:43歳
年収:800万円
毎月の掛金:60,000円
運用益:3,701,560円ー①
課税された場合の手取り額:2,961,248円ー②
節税額(①ー②):740,312円
一時金の受取は退職所得控除の利用が可能
注意点の部分に詳細は記載しますが、『iDeCo』は受取の際もメリットがあり一時金で受け取る際には退職所得控除を利用することができます。
『iDeCo』を取り組む上での注意点
原則60歳まで引き出す事ができない
『iDeCo』は老後の資産形成が目的であるため原則60歳まで掛金や運用益を引き出すことができません。
これは勤務先を退職しても原則60歳までは継続しなくてはいけません。
『iDeCo』を脱退し一時金を受け取ることができるケースもありますが、それは国民年金保険料の納付を免除されていて、通算拠出期間が3年以下、個別管理資産額が25万円以下であるなどの条件に当てはまる場合に限られます。
60歳までに大きな支出が発生する可能性があり、それに対し備えがない場合は『iDeCo』以外の方法を選択された方がいいかも知れません。
投資の上限金額が決まっている
『iDeCo』の毎月の掛け金の上限は職業などによって定められています
上限金額は下記の通り
自営業者 68,000円
会社員、公務員(企業年金がない場合) 23,000円
会社員、公務員(企業型確定拠出年金がある場合) 20,000円
主夫、主婦 23,000円
元本割れのリスクがあり、投資の知識はある程度必要
『iDeCo』は掛け金を運用する金融商品を自分で選ぶことができます
ただし、あくまで投資ですので元本割れのリスクはあります
選定できる商品の中には元本保証の定期預金などもありますが、それでは投資する効果が損なわれてしまいます
後で話しますが、手数料もかかるため定期預金では逆に目減りしてしまう可能性もあります(実際には節税効果もありますが。。。)
ハイリスクハイリターンの商品やローリスクローリターンの商品を組み合わせることにより投資効果を上げる必要があります
どの商品を選ぶのかは個人の判断の夜ので、利益を出せるか元本割れしてしまうかは商品選びによるところが大きく、ある程度は自分で判断できるよう投資の知識を身につけていく必要があります
自分で金融機関を選ぶなど手続きが煩雑
『iDeCo』は自分で金融機関を選び、口座開設手続きを行い、自分で運用する商品を選ばなくてはなりません
個人で行う手続きが多く煩雑なこともデメリットとなります
厚生年金や企業年金の場合、掛金は給与から天引きされるため、自分で行う手続きはほとんどありません。
ですが、『iDeCo』の場合、どの金融機関を窓口とするのか自分で情報を集めて決めるところから始めなくてはなりません
自由度が高い分、自分で行わなくてはならない手続きがかなり多く、仕事が忙しい人などにとっては負担が大きいかも知れませんね
手数料や維持費がかかる
先ほど少しお話しした通り、手数料や維持費の負担があります
口座を開設する際に支払う加入時手数料が2,777円かかります
こちらは『iDeCo』を管理している国民年金基金連合会に支払うもので、どの金融機関で口座開設をしても必要になります
また、掛込みを行っている間は国民年金基金連合会のほか事務委託をしている金融機関に対し、毎月167円の手数料を支払わなくてはなりません
ネット証券等では「加入時手数料や口座管理手数料が無料」とPRしているところも多いですが、それはその証券会社が独自に設定できる手数料が無料ということになります
銀行などでは、毎月の口座管理手数料や加入時手数料に各自で設定した手数料を上乗せしているところがあり「一定の条件を満たせば無料」となっている場合もあります
手数料は金融機関によって異なりますが、初年度には5,000円から1万円、それ以降は年間2,000円から7,000円程度かかることになります
リスクを取りたくないからといって、元本保証の様な安全性重視の金融商品だけ選んでいると手数料負けしてしまう可能性もある為注意してください
誰でも加入できるわけではない
『iDeCo』は全ての人が加入できるというわけではありません
条件によっては加入できない人もいるため注意しましょう
加入できない人は以下の通りです
・国民年金保険料を支払っていない人
・60歳以上の人
・海外在住の人
・勤務先の企業型DCの規約でiDeCo加入が認められていない人
・農業者年金に加入している人
会社員の場合注意しなくてはいけないのは、「海外転勤」と「勤務先の企業型DCの規約」となります
海外転勤で長期間日本を離れる場合には『iDeCo』を継続することができないことがあります
海外転勤の予定がある場合は加入している金融機関に相談するようにしてください
また勤務先の企業型DCの規約については前もって確認しておくようにしましょう
受け取り方法によって課税される場合もある
メリットの部分で、受け取りについては非課税という話をしましたが受け取り方法によって課税されてしまうケースもあります
まず、『iDeCo』の資産の受け取り方は以下の3つの方法があります
・一時金として一括で受け取る
・年金で受け取る
・一時金と年金を併用して受け取る
では、どの様な時に課税対象となるのでしょうか
考えられるのは2パターンあります
退職金とともにiDeCoの積立額を一時金で受け取る場合
『iDeCo』の一時金に対する退職所得控除額は、退職金の退職所得額控除額と同じ計算式で算出されます
計算式は勤務年数(iDeCoの一時金の場合は掛金の拠出年数)が20年を超えるかどうかで異なります
<勤続(拠出)年数が20年以下の場合>
40万円×勤続(拠出)年数
<勤続(拠出)年数が20年以上の場合>
800万+70万×(勤続年数-20年)
例えば、勤続年数または拠出年数が20年の場合、40万円×20年=800万円が控除額となり、勤続年数25年の場合は800万円+70万円×5年=1,150万円が控除額となります。
よって、20年の場合は800万円、25年の場合は1150万円を超えた分にだけ税金がかかることになります
ここで注意しなくてはいけないのは、控除額は退職金とiDeCoの一時金のそれぞれに適用されるのではなく、合算した額に適用されるということです
よって、控除額が1,000万円で、退職金と一時金がそれぞれ1,000万円ずつだった場合、合算した2,000万円から1,000万円が控除され、残りの1,000万円に課税されることになります
そのため、退職金のある人はiDeCoを一時金で受け取らない方がいい場合もあります
年金で受け取る場合
年金で受け取る場合、公的年金の受給額と合算して65歳未満の場合は年間70万円、65歳以上なら120万円までは課税されません
その為、厚生年金の支給額が比較的高い場合、iDeCoも年金として受け取ると課税対象になる場合があります。
これを回避するには公的年金の受給開始前である60歳から64歳の間に『iDeCo』を年金として受け取る方法があります
また、一時金として年金を併用して受け取ることで額を調整する方法もあります
ただし金融機関によっては併用で受け取ることができない場合もあります
その為、『iDeCo』を始める際には、将来の受け取り方法についても検討する必要があり、実際に受け取る年齢が近づいてきた際には改めて受け取り方を検討する必要があると思います
まとめ
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことを言います。
確定拠出年金とは掛金を拠出し、運用方法を選んで掛金を運用します。
簡単に言えば積立投資の1つです。
『iDeCo』にはいくつかのメリットと注意点があります
メリットは
・積み立てた掛け金が全額所得控除
・運用益が非課税
・一時金の受取は退職所得控除の利用が可能
注意点は
・原則60歳まで引き出す事ができない
・投資の上限金額が決まっている
・元本割れのリスクがあり、投資の知識はある程度必要
・自分で金融機関を選ぶなど手続きが煩雑
・手数料や維持費がかかる
・誰でも加入できるわけではない
・受け取り方法によって課税される場合がある
ということです
注意すべき点はいくつかありますが、これを考慮しても取り組む資金的な余力があるのであれば必ず皆さんの将来的な強い味方となる制度だと考えられます
また、iDeCoは2018年に制度改正が行われました。
大きな変更点は、拠出額の変更がしやすくなったことと年単位の拠出となったことです。
改正前は、拠出額を一度決めると毎月同じ額を必ず拠出しなくてはなりませんでした。
拠出額の変更は毎年3月頃などと決められ1年間は変更できなかったので、仮に積み立てが厳しくなった場合であっても次の変更時期を待たなくてはなリませんでした。
しかし改正によって、毎月定額で拠出している人は12月から翌年11月までの間で年1回のみ変更できるようになりました。
また、月ごとに拠出金を指定することもできるようになりました。
年単位で拠出することもできるようになった為、ボーナス月などに一度にまとめて掛金を拠出できるようにもなっています。
毎月積立をするのではなく、ボーナス一括払いで積み立てるなど、よりフレキシブルな対応ができるようになっています。
iDeCoは国が、国民が老後に向けた資産形成をしやすいようにと作った制度です。
いくつかの注意点はありますが、老後の生活に備えるという点にを考えれば税制優遇措置などメリットはかなり大きいと考えられます。
老後2,000万円問題と騒がれる時代になり、今後は将来に備えた資産形成がますます重要になる時代です。
今の50代60代の方々は今の年金制度で逃げ切れる世代だと考えられますが、40代以下の世代は確実に老後資金の問題に直面するでしょう。
その為、iDeCoの活用は、老後の生活を考えるうえで重要なポイントになってくると思います。
iDeCoのメリット・注意点をしっかり押さえ、自分に合った金融機関を選定し活用することを考えてみてください。
コメント